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工事契約に関する規程・通知(詳細)

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通知名 監理技術者制度運用マニュアルについて
決定制定日 2004/03/08
最終改正日 2004/03/08
文書番号 15施施企第33号
文書本文
(最終改正)
監理技術者制度運用マニュアルについて

15施施企第33号 平成16年3月8日

大臣官房会計課長
大臣官房文教施設部長
各国立学校長
各大学共同利用機関長
大学評価・学位授与機構長
国立学校財務センター所長  殿
国立教育政策研究所長
科学技術政策研究所長
日本学士院長
文化庁長官


大臣官房文教施設部施設企画課監理室長事務取扱施設企画課長


 このことについて、別添(写)のとおり、国土交通省総合政策局建設業課長から、「監理技術者制度運用マニュアルについて」の送付がありましたので、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(平成12年法律第127号)及び「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(平成13年3月9日閣議決定)に係る対応の参考とされたく送付します。

別添

監理技術者制度運用マニュアルについて

国総建第317号 平成16年3月1日

文部科学省大臣官房文教施設部施設企画課長


国土交通省総合政策局建設業課長


 建設業法第26条に定める工事現場に置く技術者については、「監理技術者資格者証運用マニュアルについて」(平成6年12月28日付け建設省経建発第395号)において、かねてよりその適正な設置の徹底をお願いするとともに、これに違反した場合、建設業者に対しては監督処分を行いうるものとしているところである。
 今般、「公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律(平成15年法律第96号)」等が施行されたことに加え、技術者が適正に設置されていないこと等による不良施工や一括下請負などの不正行為を排除するとともに、建設業の生産性の向上を図り建設工事の適正な施工を確保するため、従来の「資格者証(監理技術者資格者証)運用マニュアル」を見直し、技術者の適正な設置に係る運用を定めた標記マニュアルを別添のとおり定め、当職から地方整備局等建設業担当部長及び各都道府県建設業担当主管部局長あて通知した。
 標記マニュアルは、建設業行政の担当部局が建設業者に対して指導を行う際の指針となると同時に、公共工事の発注者がその発注に係る建設工事について主任技術者及び監理技術者に関する制度の理解と的確な運用を通じて建設工事の適正な施工の確保に資するものであるので、参考とされたく送付する。
併せて、貴管下の関係機関に対し、周知方お願いする。
 なお、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号)」及び「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(平成13年3月9日閣議決定とに係る対応については、従来よりあらゆる機会を通じてその趣旨の徹底を図ってきたところであるが、あらためてより)層の取組みの強化をお願いしたい。
 また、平成6年の「監理技術者資格者証運用マニュアルについて」は、廃止する。

監理技術者制度運用マニュアル

目次
1 趣旨
2 監理技術者等の設置
2-1 工事外注計画の立案
2―2 監理技術者等の設置
2―3 監理技術者等の職務
2―4 監理技術者等の雇用関係
3 監理技術者等の工事現場における専任
4 監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証の携帯
5 施工体制台帳の整備と施工体系図の作成
6 工事現場への標識の掲示
7 建設業法の遵守

1 趣旨
 建設業法では、建設工事の適正な施工を確保するため、工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として主任技術者又は監理技術者(以下、「監理技術者等」という。)の設置を求めている。
監理技術者等に関する制度(以下、「監理技術者制度」という。)は、高度な技術力を有する技術者が施工現場においてその技術力を十分に発揮することにより、建設市場から技術者が適正に設置されていないこと等による不良施工や一括下請負などの不正行為を排除し、技術と経営に優れ発注者から信頼される企業が成長できるような条件整備を行うことを目的としており、建設工事の適正な施工の確保及び建設産業の健全な発展のため、適切に運用される必要がある。
 本マニュアルは、建設業法上重要な柱の一つである監理技術者制度を的確に運用するため、行政担当部局が指導を行う際の指針となるとともに建設業者が業務を遂行する際の参考となるものである。

(1) 建設業における技術者の意義
・ 建設業については、一品受注生産であるためあらかじめ品質を確認できないこと、不適正な施工があったとしても完全に修復するのが困難であること、完成後には瑕疵の有無を確認することが困難であること、長期間、不特定多数に使用されること等の設生産物の特性に加え、その施工については、総合組立生産であるため下請業を含めた多数の者による様々な工程を総合的にマネージメントする必要があること、現地屋外生産であることから工程が天候に左右されやすいこと等の特性があることから、建設業者の施工能力が特に重要となる。一方、建設業者は、良質な社会資本を整備するという社会的使命を担っているとともに、発注者は、建設業者の施工能力等を拠り所に信頼できる建設業者を選定して建設工事の施工を託している。そのため、建設業者がその技術力を発揮して、建設工事の適正かつ生産性の高い施工が確保されることが極めて重要である。特に現場においては、建設業者が組織として有する技術力と技術者が個人として有する技術力が相侯って発揮されることによりはじめてこうした責任を果たすことができ、この点で技術者の果たすべき役割は大きく、建設業者は、適切な資格、経験等を有する技術者を工事現場に設置することにより、その技術力を十分に発揮し、施工の技術上の管理を適正に行わなければならない。

(2) 建設業法における監理技術者等
・ 建設業法においては、建設工事を施工する場合には、工事現場における工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を置かなければならないこととされている。また、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要になるとともに、主任技術者に代えて監理技術者を置かなければならない(法第26条第1項及び第2項、令第2条)。
・ 監理技術者等となるためには、一定の国家資格や実務経験を有していることが必要であり、特に指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業及び造園工事業)に係る建設工事の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者又は建設業法第十五条第二号ハの規定に基づき国土交通大臣が認定した者(以下、「国土交通大臣認定者」という。)に限られる(法第二十六条第二項)。

(3) 本マニュアルの位置付け
・ 監理技術者制度が円滑かつ的確に運用されるためには、行政担当部局は建設業者を適切に指導する必要がある。本マニュアルは、監理技術者等の設置に関する事項、監理技術者等の専任に関する事項、監理技術者資格者証(以下、「資格者証」という。)に関する事項、監理技術者講習に関する事項等、監理技術者制度を運用する上で必要な事項について整理し、運用に当たっての基本的な考え方を示したものである。
建設業者にあっては、本マニュアルを参考に、監理技術者制度についての基本的考え方、運用等について熟知し、建設業法に基づき適正に業務を行う必要がある。

2 監理技術者等の設置
2―1 工事外注計画の立案
 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、施工体制の整備及び監理技術者等の設置の要否の判断等を行うため、専門工事業者等への工事外注の計画(工事外注計画)を立案し、下請契約の請負代金の予定額を的確に把握しておく必要がある。
(1) 工事外注計画と下請契約の予定額
・ 一般的に、工事現場においては、総合的な企画、指導の職務を遂行する監理技術者等を中心とし、専門工事業者等とにより施工体制が構成される。その際、建設工事を適正に施工するためには、工事のどの部分を専門工事業者等の施工として分担させるのか、また、その請負代金の額がどの程度となるかなどについて、工事外注計画を立案しておく必要がある。工事外注計画としては、受注前に立案される概略のものから工事施工段階における詳細なものまで考えられる。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、監理技術者等の設置の要否を判断するため、工事受注前にはおおむねの計画を立て、工事受注後速やかに、工事外注の範囲とその請負代金の額に関する工事外注計画を立案し、下請契約の予定額が三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上となるか否か的確に把握しておく必要がある。なお、当該建設業者は、工事外注計画について、工事の進捗段階に応じて必要な見直しを行う必要がある。

(2) 下請契約について
・ 「下請契約」とは、建設業法において次のように定められている(法第二条第四項)。
「建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約」
「請負契約」とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約」であり、単に使用者の指揮命令に従い労務に服することを目的とし、仕事の完成に伴うリスクは負しない「雇用」とは区別される。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、このような点踏まえ、工事外注の範囲を明らかにしておく必要がある。
・ なお、公共工事については全面的に一括下請負が禁止されており(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号。以下、「入札契約適正化法」という。)第12条)、民間工事においても発注者の書面による承諾を得た場合を除き禁止されている(法第22条)。

2―2 監理技術者等の設置
 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の予定額を的確に把握して監理技術者を置くべきか否かの判断を行うとともに、工事内容、工事規模及び施工体制等を考慮し、適正に技術者を設置する必要がある。
(1) 監理技術者等の設置における考え方
・ 建設工事の適正な施工を確保するためには、請け負った建設工事の内容を勘案し適切な技術者を適正に設置する必要がある。このため、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、事前に監理技術者を設置する工事に該当すると判断される場合には、当初から監理技術者を設置しなければならず、監理技術者を設置する工事に該当するかどうか流動的であるものについても、工事途中の技術者の変更が生じないよう、監理技術者になり得る資格を有する技術者を設置しておくべきである。
 また、主任技術者、監理技術者の区分にかかわらず、下請契約の請負代金の額が小さくとも工事の規模、難易度等によっては、高度な技術力を持つ技術者が必要となり、国家資格者等の活用を図ることが適切な場合がある。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、これらの点も勘案しつつ、適切に技術者を設置する必要がある。

(2) 共同企業体における監理技術者等の設置
・ 建設業法においては、建設業者はその請け負った建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し、当該 工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる監理技術者等を置かなければならないこととされており、この規定は共同企業体の各構成員にも適用され、下請契約の額が3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上となる場合には、特定建設業者たる構成員一社以上が監理技術者を設置しなければならない。また、その請負金額が2500万円(建築一式工事の場合は5000万円)以上となる場合は設置された監理技術者等は専任でなければならない。
 なお、共同企業体が公共工事を施工する場合には、原則として特定建設業者たる代表者が、請負金額にかかわらず監理技術者を専任で設置すべきである。
・ 一つの工事を複数の工区に分割し、各構成員がそれぞれ分担する工区で責任を持って施工する分担施工方式にあっては、分担工事に係る下請契約の額が3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上となる場合には、当該分担工事を施工する特定建設業者は、監理技術者を設置しなければならない。また、分担工事に係る請負金額が2500万円(建築一式工事の場合は5000万円)以上となる場合は設置された監理技術者等は専任でなければならない。
 なお、共同企業体が公共工事を分担施工方式で施工する場合には、分担工事に係る下請契約の額が3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上となる場合は、当該分担工事を施工する特定建設業者は、請負金額にかかわらず監理技術者を専任で設置すべきである。
・ いずれの場合も、その他の構成員は、主任技術者を当該工事現場に設置しなければならないが、公共工事を施工する特定建設共同企業体にあっては国家資格を有する者を、また、公共工事を施工する経常建設共同企業体にあっては原則として国家資格を有する者を、それぞれ請負金額にかかわらず専任で設置すべきである。
・ 共同企業体による建設工事の施工が円滑かつ効率的に実施されるためには、すべての構成員が、施工しようとする工事にふさわしい技術者を適正に設置し、共同施工の体制を確保しなければならない。したがって、各構成員から派遣される技術者等の数、資格、配置等は、信頼と協調に基づく共同施工を確保する観点から、工事の規模・内容等に応じ適正に決定される必要がある。このため、編成表の作成等現場職員の配置の決定に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
① 工事の規模、内容、出資比率等を勘案し、各構成員の適正な配置人数を確保すること。
② 構成員間における対等の立場での協議を確保するため、配置される職員は、ポストに応じ経験、年齢、資格等を勘案して決定すること。
③ 特定の構成員に権限が集中することのないように配慮すること。
④ 各構成員の有する技術力が最大限に発揮されるよう配慮すること。

(3) 主任技術から監理技術者への変更
・ 当初は主任技術者を設置した工事で、大幅な工事内容の変更等により、工事途中で下請契約の請負代金のが3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上となったような場合には、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を設置しなければならない。ただし、工事施工当初においてこのような変更があらかじめ予想される場合には、当初から監理技術者になり得る資格を持つ技術者を置かなければならない。

(4) 監理技術者等の途中交代
・ 建設工事の適正な施工の確保を阻害する恐れがあることから、施工管理をつかさどっている監理技術者等の工期途中での交代は、当該工事における入札・契約手続きの公平性の確保を踏まえた上で、慎重かつ必要最小限とする必要があり、これが認められる場合としては、監理技術者等の死亡、傷病または退職等、真にやむを得ない場合のほか、次に掲げる場合等が考えられる。
① 受注者の責によらない理由により工事中止または工事内容の大幅な変更が発生し、工期が延長された場合
② 橋梁、ポンプ、ゲート等の工場製作を含む工事であって、工場から現地へ工事の現場が移行する時点
③ ダム、トンネル等の大規模な工事で、一つの契約工期が多年に及ぶ場合
・ なお、いずれの場合であっても、発注者と発注者から直接建設工事を請け負った建設業者との協議により、交代の時期は工程上一定の区切りと認められる時点とするほか、交代前後における監理技術者等の技術力が同等以上に確保されるとともに、工事の規模、難易度等に応じ一定期間重複して工事現場に設置するなどの措置をとることにより、工事の継続性、品質確保等に支障がないと認められることが必要である。
・ また、協議においては、発注者からの求めに応じて、直接建設工事を請け負った建設業者が工事現場に設置する監理技術者等及びその他の技術者の職務分担、本支店等の支援体制等に関する情報を発注者に説明することが重要である。

(5) 営業所における専任の技術者と監理技術者等との関係
・ 営業所における専任の技術者は、営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められている。
・ ただし、特例として、当該営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあるものについては、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある場合に限り、当該工事の専任を要しない監理技術者等となることができる(平成15年4月20日付、国総建第18号)。

2―3 監理技術者等の職務
 監理技術者等は、建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
・ 監理技術者等の職務は、建設工事の適正な施工を確保する観点から、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどることである。すなわち、建設工事の施工に当たり、施工内容、工程、技術的事項、契約書及び設計図書の内容を把握したうえで、その施工計画を作成し、工事全体の工程の把握、工程変更への適切な対応等具体的な工事の工程管理、品質確保の体制整備、検査及び試験の実施等及び工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行うとともに、当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督を行うことである(法第26条の3第1項)。
 特に、監理技術者は、建設工事の施工に当たり外注する工事が多い場合に、当該建設工事の施工を担当するすべての専門王事業者等を適切に指導監督するという総合的な役割を果たすものであり、工事の施工に関する総合的な企画、指導等の職務がとりわけ重視されるため、より高度な技術力が必要である。
また、工事現場における建設工事の施工に従事する者は、監理技術者等がその職務として行う指導に従わなければならない(法第26条の3第2項)。
・ なお、監理技術者等が、同じ建設業者に所属する他の技術者を活用しながら監理技術者等としての職務を遂行する場合には、監理技術者等を補佐するこれらの他の技術者の職務を総合的に掌握するとともに指導監督する必要がある。この場合において、適正な施工を確保する観点から、個々の技術者の職務分担を明確にしておく必要があり、発注者から請求があった場合は、その職務分担等について、発注者に説明することが重要である。
・ 現場代理人は、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の取締りのほか、工事の施工及び契約関係事務に関する一切の事項を処理するものとて工事現場に置かれる請負者の代理人であり、監理技術者等との密接な連携が適正な施工を確保する上で必要不可欠である。なお、監理技術者と現場代人はこれを兼ねることができる(公共工事標準請負契約約款第10条)。

2―4 監理技術者等の雇用関係
 建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については、当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であり、このような雇用関係は、資格者証または健康保険被保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要である。
(1) 監理技術者等に求められる雇用関係
・ 建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要である。また、建設業者としてもこのような監理技術者等を設置して適正な施工を確保することが、当該建設業者が技術と経営に優れた企業として評価されることにつながる。
・ 発注者は設計図書の中で雇用関係に関する条件や雇用関係を示す書面の提出義務を明示するなど、あらかじめ雇用関係の確認に関する措置を定め、適切に対処することが必要である。
(2) 直接的な雇用関係の考え方
・ 直接的な雇用関係とは、監理技術者等とその所属建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇用に関する一定の権利義務関係(賃金、労働時間、雇用、権利構成)が存在することをいい、資格者証、健康保険被保険者証または市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書等によって建設業者との雇用関係が確認できることが必要である。したがって、在籍出向者、派遣社員については直接的な雇用関係にあるとはいえない。
・ 直接的な雇用関係であることを明らかにするため、資格者証には所属建設業者名が記載されており、所属建設業者名の変更があった場合には、30日以内に指定資格者証交付機関に対して記載事項の変更を届け出なければならない(建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号、以下、「規則」という。)第17条の30第1項、第17条の30第1項)。
・ 指定資格者証交付機関は、資格者証への記載に当たって、所属建設業者との直接的かつ恒常的な雇用関係を、健康保険被保険者証、市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書により確認しているが、資格者証中の所属建設業者の記載や主任技術者の雇用関係に疑義がある場合は、同様の方法等により行う必要がある。具体的には、
① 本人に対しては健康保険被保険者証
② 建設業者に対しては健康保険被保険者標準報酬決定通知書、市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書、当該技術者の工事経歴書の提出を求め確認するものとする。

(3) 恒常的な雇用関係の考え方
・ 恒常的な雇用関係とは、一定の期間にわたり当該建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていることに加え、監理技術者等と所属建設業者が双方の持つ技術力を熟知し、建設業者が責任を持って技術者を工事現場に設置できるとともに、建設業者が組織として有する技術力を、技術者が十分かつ円滑に活用して工事の管理等の業務を行うことができることが必要であり、特に国、地方公共団体等(法第26条第四項に規定する国、地方公共団体その他政令で定める法人)が発注する建設工事(以下、「公共工事」という。)において、発注者から直接請け負う建設業者の専任の監理技術者等については、所属建設業者から入札の申込のあった日(指名競争に付す場合であって入札の申込を伴わないものにあっては入札の執行日、随意契約による場合にあっては見積書の提出のあった日)以前に3ヶ月以上の雇用関係にあることが必要である。
・ 恒常的な雇用関係については、資格者証の交付年月日若しくは変更履歴又は健康保険被保険者証の交付年月日等により確認できることが必要である。
・ 但し、合併、営業譲渡又は会社分割等の組織変更に伴う所属建設業者の変更(契約書又は登記簿の謄本等により確認)があった場合には、変更前の建設業者と3ヶ月以上の雇用関係にある者については、変更後に所属する建設業者との間にも恒常的な雇用関係にあるものとみなす。また、震災等の自然災害の発生またはその恐れにより、最寄りの建設業者により即時に対応することが、その後の被害の発生または拡大を防止する観点から最も合理的であって、当該建設業者に要件を満たす技術者がいない場合など、緊急の必要その他やむを得ない事情がある場合については、この限りではない。

(4) 持株会社化等による直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱い
・ 建設業を取り巻く経営環境の変化等に対応するため、建設業者が営業譲渡や会社分割をした場合や持株会社化等により企業集団を形成している場合における建設業者監理技術者等との間の直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱いの特例について、次の通り定めている。
① 建設業者の営業譲渡又は会社分割に係る主任技術者は監理技術者の直接的かつ恒常的な雇用関係の確認の事務取扱いについて(平成13年5月30日付、国総建第155号)
② 持株会社の子会社が置く主任技術者又は監理技術者の直接的かつ恒常的な雇用関係の確認の取扱いについて(平成14年4月16日付、国総建第97号)
③ 親会社及びその連結子会社の問の出向社員に係る主任技術者又は監理技術者の直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱い等について(平成15年1月22日付、国総建第335号)

3 監理技術者等の工事現場における専任
 監理技術者等は、公共性のある工作物に関する重要な工事に設置される場合には、工事現場ごとに専任の者でなければならない。
 専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることをいう。
 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者については、施工における品質確保、安全確保等を図る観点から、監理技術者等を専任で設置すべき期間が、発注者と建設業者の間で設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。

(1) 工事現場における監理技術者等の専任の基本的な考え方
・ 監理技術者等は、公共性のある工作物に関する重要な工事については、より適正な施工の確保が求められるため、工事現場ごとに専任の者でなければならない(法第26条第3項)。
・ 「公共性のある工作物に関する重要な工事」とは、次の各号に該当する建設工事で工事)件の請負代金の額が2500万円(建築一式工事の場合は5000万円)以上のものをいう(建設業法施行令(昭和31年政令第273号。以下、「令」という。)第27条)。
① 国又は地方公共団体が注文者である工作物に関する工事
② 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道に関する工事
③ 電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設をいう。)に関する工事
④ 学校、児童福祉法第七条に規定する児童福祉施設、集会場、図書館、美術館、博物館、陳列館、教会、寺院、神社、工場、ドック、倉庫、病院、市場、百貨店、事務所、興行場、ダンスホール、旅館業法第2条に規定するホテル、旅館若しくは下宿、共同住宅、寄宿舎、公衆浴場、鉄塔、火葬場、と畜場、ごみ若しくは汚物の処理場、熱供給事業法第2条第四項に規定する熱供給施設、石油パイプライン事業法第五条第2項第2号に規定する事業用施設又は電気通信事業法第12条第1項に規定する第一種電気通信事業者がその事業の用に供する施設に関する工事

(2) 監理技術者等の専任期間
・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、監理技術者等を工事現場に専任で設置すべき期間は契約工期が基本となるが、たとえ契約工期中であっても次に掲げる期間については工事現場への専任は要しない。ただし、いずれの場合も、発注者と建設業者の間で次に掲げる期間が設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。
① 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入または仮設工事等が開始されるまでの間。)
② 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
③ 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター等の工場製作を含む工事であって、工場製作のみが行われている期間
④ 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間
 なお、工場製作の過程を含む工事の工場製作過程においても、建設工事を適正に施工するため、監理技術者等がこれを管理する必要があるが、当該工場製作過程において、同一工場内で他の同種工事に係る製作と一元的な管理体制のもとで製作を行うことが可能である場合は、同一の監理技術者等がこれらの製作を一括して管理することができる。
・ 下請工事においては、施工が断続的に行われることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、下請工事が実際に施工されている期間とする。
・ また、例えば下水道工事と区間の重なる道路工事を同一あるいは別々の主体が発注する場合など、密接な関連のある2以上の工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工を管理することができる(令第27条第2項)。ただし、この規定は、専任の監理技術者については適用されない。
・ このほか、同一あるいは別々の発注が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるもの(当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限る。)については、全体の工事を当該建設業者が設置する同一の監理技術者等が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられることから、これら複数の工事を一の工事とみなして、同一の監理技術者等が当該複数工事全体を管理することができる。この場合、これら複数工事に係る下請金額の合計を3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上とするときは特定建設業の許可が必要であり、工事現場には監理技術者を設置しなければならない。また、これら複数工事に係る請負代金の額の合計が2500万円(建築一式工事の場合は5000万円)以上となる場合、監理技術者等はこれらの工事現場に専任の者でなければならない。
・ なお、フレックス工期(建設業者が一定の期間内で工事開始日を選択することができ、これが書面により手続上明確になっている契約方式に係る工期をいう。)を採用する場合には、工事開始日をもって契約工期の開始日とみなし、契約締結日から工事開始日までの期間は、監理技術者等を設置することを要しない。

4 監理技術者資格者証及び監理技術者講習修了証の携帯
 公共工事における専任の監理技術者は、資格者証の交付を受けている者であって、監理技術者講習を過去5年以内に受講したもののうちから、これを選任しなければならない。また、当該監理技術者は、発注者等から請求があったときは資格者証を提示しなければならず、当該建設工事に係る職務に従事しているときは、常時これらを携帯している必要がある。また、監理技術者講習修了証(以下、「修了証」という。)についても、発注者等から提示を求められることがあるため、資格者証と同様に携帯しておくことが望ましい。

(1) 資格者証制度及び監理技術者講習制度の適用範囲
・ 公共工事については、専任の監理技術者は、資格者証の交付を受けている者であって、監理技術者講習を受講したもののうちから選任しなければならない(法第26条第4項)。
・ 建設業法上、資格者証及び監理技術者講習に関する規定が適用される発注者は、国、地方公共団体、法人税法別表第1に掲げる公共法人、東京湾横断道路株式会社、帝都高速度交通営団及び関西国際空港株式会社である(法第26条第四項、令第27条の2、規則第17条の2)。

(2) 資格者証に関する規定
・ 資格者証は、公共性のある工作物に関する重要な建設工事の中でも、より適正な施工の確保が求められる公共工事について、当該建設工事の監理技術者が所定の資格を有しているかどうか、監理技術者としてあらかじめ定められた本人が専任で職務に従事しているかどうか、工事を施工する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であるかどうか等を確認するために活用されている。建設業者に選任された監理技術者は、発注者等から請求があった場合は、資格者証を提示しなければならない(法第26条第5項)。
・ 監理技術者になり得る者は、指定資格者証交付機関に申請することにより資格者証の交付を受けることができる。監理技術者になり得る者は、指定建設業7業種については、一定の国家資格者又は国土交通大臣認定者に限られるが、指定建設業以外の21業種については、一定の国家資格者、国土交通大臣認定者のほか、一定の指導監督的な実務経験を有する者も監理技術者になり得る。
担当 なし
参照URL1  
参照URL2  
参照URL3  
添付ファイル1 0166.pdf
添付ファイル2  
添付ファイル3  

※添付ファイルは別ウィンドウにて開きます。

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