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工事契約に関する規程・通知(詳細)

文書本文キーワード:
通知名 政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用方針
決定制定日 1950/04/07
最終改正日 1950/05/29
文書番号 理国第140号
文書本文
(最終改正)
政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用方針

大蔵省理財局長通知理国第140号 
昭和25年4月7日

改正 昭和25年5月29日 第177号


第1 法律の解釈の統一について
政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号。以下単に法又は法律という。)について国の事務取扱上の解釈を統一して、その運用の円滑を期するため大蔵省(理財局)が、その連絡調整の衝に当るものとする。なお、この解釈は、司法上の解釈を拘束するものではない。また、この法律の施行につき訴訟のあつた場合の国の取扱は、国の利害に関係ある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律(昭和22年法律第194号)によることは勿論である。

第2 この法律運用の基本方針
この法律は、国の会計経理事務処理の能率化を図り政府契約の支払を促進するとともに、従来兎角官尊民卑的傾向に陥り、ややもすれば片務性を有することが当然であるかの如き先入観の存する虞のあつた政府契約をして、私法上の契約の本質たる当事者対等の立場において公正に締結せしめ信義則の命ずるところにより相互の円滑適正な履行を確保せんとするものである。従つて、合意の名のもとに契約の本質にもとるが如きことをなさないことはもとより、単に遅延利息の支払をもつて、支払遅延の責を免れ得るとの安易感を抱くことなく約定期間内の支払を励行するよう厳に留意すべきである。なお、この法律の適確円滑なる施行を期する反面、相手方の履行をも厳格に励行せしめるよう措置することが必要である。

第3 この法律の適用範囲について
この法律において「政府契約」とは、「国を当事者の一方とする契約で国以外の者のなす工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入に対し国が対価の支払をなすべきもの」であつて
1 国とは
(イ) 立法府
(ロ) 司法府
(ハ) 行政府としての内閣並びに人事院及び国家行政組織法の規定に基き設置せられた各行政機関(従つて公団を含む。)
(ニ) その他の独立機関たる会計検査院
等総べての国の機関を指すものである。従つて、行政機関的性格を有するも国家行政組織法に基いて設置された機関でないもの例えば閉鎖機関整理委員会、船舶運営会等の如きは、法第2条に規定する国の範囲には属さない。
(ホ) 日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第63条の規定により、法律に別段の定をしない限り、国とみなされることとなつているが、法第14条においては、これを国有鉄道に準用して、法第2条に規定する国と区分し、また、日本専売公社は、日本専売公社法第49条の規定により政令で特に定める法令に限り国の行政機関とみなされるが、法第14条においては、これを公社に準用しており国有鉄道とともに法第2条に規定する国には属さないものとする。
2 「国以外の者」とは、1による国以外の者一切をいう。従つて
(イ) 国の機関相互間における契約については、この法律の適用がない。
(ロ) 国と日本専売公社、日本国有鉄道又は地方公共団体との間においては国が、これらのものに対価の支払をなすべき場合に限り、この法律の適用がある。
3 「工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入に対し国が対価の支払をなすべきもの」とは相手方の積極的給付に対し国が対価の支払をなすべき私法上の有償双務契約をいうのである。従つて
(イ) 消極的給付(不作為給付)に対する対価
(ロ) 公法上の契約に基き支出せられるもの例えば、補助金、助成金、負担金、交付金、公務出張旅費、歳費
(ハ) 支出の根拠が契約であつても、相手方の給付と、これに対する国の反対給付が対価的関係におかれていないもの例えば
(1) 違約金
(2) 弁償金、賠償金、損失補償金。但し(ホ)に掲げる如き性質を有するものを除く。
(3) 還付金又は返還金
(4) 政府が管掌する保険の保険給付
(5) 借入金又は国債の返還金又は償還金
(6) 保管金、供託金の返還金
(7) 立替金及びその返還金
(ニ) 支払の根拠が契約でないもの例えば
(1) 出資金、貸付金
(2) 恩給法による恩給
(3) 謝礼金、賞賜金、報奨金(但し、これらの名目によるものであつても、契約により相手方において対価としての請求権を有している場合は、この限りでない。)
(4) 災害による療養費、扶助金、弔慰金、見舞金
(5) 賞与その他の恩恵的性質を有する給与
(6) 公務員以外の者に命じた出頭その他の旅行に対し支給せられる旅費(日当、宿泊料を含む。)
等の如きはこの法律の適用から除外される。
(ホ) 国の管理統制又はその他公益の必要等により相手方の履行が強制せられるもので質が契事項で(但し、相手方の給付と、これに対する国の反対給付たる支払が対価的関係にあり、且つ、相手方の給付の原因が違法でないものに限る。)は、法第2条に規定する政府契約として取扱われる。従つて、例えば
(1) 食糧管理法の規定に基き、政府が米麦等の生産者から買上げた米麦等の対価
(2) 自作農創設特別措置法の規定に基き、政府が買収した農地、農地及び牧野以外の土地、立木又は建物その他の工作物並びに権利等の対価
(3) 臨時物資需給調整法に基く遊休物資活用手続要領並びに過剰物資等在庫活用規則の規定により、不正保有物資等特別措置特別会計の管理庁(その取扱をなす公団を含む。)が譲り渡しを受けた過剰物資の対価
(4) アルコール専売法の規定に基き、政府が収納したアルコールの賠償金
(5) 土地収用法の規定に基き、国が収用または使用した土地、土地の定着物件、土地に属する土石砂礫及び収用した土地に在る物件の移転に対する補償金。但し、収用残地の減価補償金の如き消極的損失補償を除く。
(6) 昭和20年勅令第542号「ポツダム」宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く工場事業場等の管理に関する件(昭和20年文部商工ポ省令第1号)の規定・基き、賠償指定施設管理者に対し支払われる管理費等は、政府契約に基く対価として、この法律の適用を受けるが国が米麦等の不法所持者から買上げた米麦等の対価及び不正保有物資の所有者から譲り渡しを受けた不正保有物資の対価(以上は何れも例示的列挙とする。)の如きは、相手方の給付の原因が違法であるものとして、この法律の適用を受けない。
4 予算決算及び会計令第75条第2項(同令第77条において準用する場合を含む。)〔現行第101条の10〕の規定による部分払契約については、物件の買入及び性質上可分の工事又は製造並びに工事又は製造以外の請負契約で当該既済(納)部分の代価の全額までを支払い得る場合に限り、法所定の取扱をすべきものである。
5 この法律は、国際私法の準拠法として、日本国内における外国人又は外国におけるこの法律の適用については、それぞれ事実関係を基礎として、法例(明治31年法律第10号)の定めるところにより決定すべきである。

第4 契約書の必要的記載事項について
契約書の必要的記載事項については、法第4条において規定するところであるが
@ 他の法令(例えば予算決算及び会計令第68条〔現行第100条〕、建設業法第19条等)において、これらの事項以外に記載すべき事項を規定している場合は、当然これらの事項をも記載しなければならない。
A 同条但書の規定により
(イ) 予算決算及び会計令第70条〔現行第100条の2〕の規定に該当する場合
(ロ) その他の法令の規定により契約書の作成を省略し得る場合
において契約書の作製を省略したときは、同条第1号ないし第3号に掲げる事項は、法第10条に規定する法定の約定があつたものとみなされる。
B 「この限りでない」とは、「書面により明かにしなくとも差し支えない」との意であつて、書面により定めることを否定するものではない。従つて、契約書の作製を省略し得る場合であつても、これらの事項を書面により明かにするならば、完了の確認又は支払の時期については、法第5条ないし第7条の規定により定をすることができるのであり、この定をしなかつたときにおいては、当事者に利益、不利益にかかわらず法第10条に規定する法定の約定があつたものとみなされることになるのである。
C 同条第1号ないし第3号に掲げる事項が、法第5条ないし第8条の規定による制限に反して定められたときは、その反する部分は無効とし、それぞれ法第5条ないし第8条(但し、契約書の作成を省略し、又はこれらの事項を定めなかつたときは法第10条)に規定する内容の約定があつたものとみなされる。
D 同条第4号に規定する紛争の解決方法については、なんら具体的の定めがないが、法の意図するところは第三者の斡旋により解決し、なるべく訴訟によることを避けんとしているのであり、相手方の給付が建設業法第2条に規定する建設工事に該当し、しかも、契約に関する紛争解決の方法として建設審議会に紛争解決の斡旋を依頼する旨の約定がある場合においては、同法第24条の規定に基いて建設審議会に紛争解決の斡旋を依頼することができるが、その他の場合は適当な第三者を選定することが困難な場合もあるので、相手方と合意の上、本法実施の監督的立場にある大蔵省(その地方機関を含む。)が紛争の解決を斡旋することも一方法である。(尤も契約当事者の一方が大蔵省である場合には別途の方法を選ぶ必要がある。)なお別に適当な方法がある場合は勿論その方法によるべきであるが、そ解を訴訟よつて解すことた場合或は現実に訴訟上の紛争を生じたときは、国の利害に関係ある訴訟についての法務総裁の権限に関する法律によつて処理しなければならない。

第5 給付の完了の確認又は検査の時期について
給付の完了の確認又は検査(以下単に検収という。)の時期は、法第5条において規定するところであるが
@ 「通知を受けた日」とは、通知が国の支配圏内に到達した日であり、所定の執務時間内である限り1日として算入される。民法の規定によれば、期間の計算については、法令、裁判上の命令又は法律行為に別段の定めある場合の外、その期間が午前零時より始まる場合を除いては、暦法的計算により初日を算入しないのであるが、この法律の規定においては、この条項(第5条)における場合と、他の条項における場合(第8条における「支払時期到来の日の翌日」又は第11条における「その期限の翌日」)とにおいて、その用法を区分しておるので、法令に別段の定のある場合として、通知を受けた日は、計算上1日に算入されるものである。
A 相手方のなす給付の完了の通知を、この法律上の義務とする明文はないが、相手方が、その通知をしないときは、国における検収期間は開始されない。但し、賃貸借契約及びその他の役務の給付を内容とする契約において、特に約定によつて相手方の通知及び国の検収を省略する場合は、この限りでない。
B 「その他の給付」とは、法第2条に規定する工事の完成を除く「作業その他の役務の給付又は物件の納入」をいい、「工事」と「その他の給付」の区分については、信義則及び社会通念に従い契約により決定すべきである。
C 「以内の日とする」とは「以内の日に完了」すべきものである。
D 国は、検収を完了したことを相手方に通知すべきことは、特に規定されていないが、相手方の支払請求は、国の検収を前提とするものであるから、国の検収が給付者の了知し得ない状況の下に行われたときは、その完了後遅滞なく相手方に通知すべきである。特に定めのない限り、その通知は要式行為たるを要しないことは勿論である。
E 契約による相手方の履行の時期と国の検収の時期については
(イ) 相手方の履行の時期を特定(例えば1月10日)とした場合において、当該特定時期以前において相手方が履行を完了したときは、期限の利益を放棄したものとし、当該特定時期の到来までは、検収期間は進行しないものである。なお、相手方の履行の完了が当該特定の時期到来以前であつても、当該特定の時期到来以後において完了の通知のあつたときは、完了の通知のあつた日から検収期間が進行することは当然である。
(ロ) 相手方の履行の時期を特定せず又は、一定の時期まで(例えば1月10日まで)とした場合においては、相手方から履行完了の通知のあつたときから検収期間は進行するものである。
F 予算決算及び会計令(第75条第1項及び第77条)においては、代価が30万円を超える工事若しくは製造又は物件の買入及びその他の請負契約については、その完了(納)後、監督又は検査した官吏又は技術者をして、その調書を作成すべきことを規定しているが〔現行これに相当する規定は予決令第101条の9〕代価が30万円未満〔現行60万円以下〕のこれら契約並びにこれら以外の契約についても、その給付を検収すべきことは当然であつて、予算決算及び会計令第71条〔現行第100条の2〕の規定に該当し、契約書の作成を省略した場合の給付とともに、その検収については、当然本條の適用があるものである。
G 賃貸借契約又はその他の役務の給付を内容とする契約で、相手方の完了の通知又は国の検収の必要がないと認められるもの及び連合国軍の要求に基く給付の検収については、左により処理することは差し支えない。
(イ) 賃貸借契約にあつては、当該給付の完了について逐一相手方をして通知させることは事実に即せず、また、履行完了については、契約当事者たる国の自ら確認するところであるので、契約によつて、それぞれ支払の根拠となる当該期間満了の時をもつて相手方の通知及び国の検収があつたものとして処理することができる。なお、賃貸借契約以外の役務の給付を内容とする契約についても、契約によつて賃貸借契約と同様の取扱をすることができる。
(ロ) 連合国軍の調達要求に基き、政府との契約により提供せられる給付にあつては、連合国軍の調達受領書の発給せられたことを政府が確認したときをもつて、当該給付の完了の通知及び国の検収があつたものとして処理することができる。なお、この取扱によろうとするときは、その旨を予め約定しておくことが適当である。
H これらの時期は、給付の内容に応じて、当事者の合意に基き、法律の規定の制限内で適正に決定せらるべであが特に最長期よりい時を定た場合においても、事情の変更が客観的に妥当であると認められる場合においては、相手方の給付の完了前に限り合意の上、法所定の最長期間まで延長することができる。なお、法第7条の規定による時期の特約をなし得るのは、相手方の給付の完了前に限ることは勿論である。
I これらの期間の末日が休日であるときは、その翌日(その翌日が休日であるときは順延して)が末日となることは当然である。

第6 対価の支払の時期について
相手方の給付に対する対価の支払時期については、法第6条に規定するところであるが
@ 「適法な支払請求書」とは、法令、契約、又は慣習により添附すべき書類を添附したものであることを要するが、それは、受理のときにおいて形式的に整備されておれば足りるのである。
A 「受理」とは、単なる到達を指すものではなく相手方の支払請求書が到達し国において、これを処理し得る状態におくことをいうのであるが、その到達が所定の執務時間内であれば当然受理すべきであり、その日は、計算上1日に算入される。(第5の(一)参照)なお、支払請求書受理の日時は、将来事故発生の場合の紛争点となり、これが立証を要することも予想せられるにつき予め請求書送付箇所を約定するとともに、当該機関における請求書受理者を定め、受理簿を設け又は受理請求書に受理日附印を押捺する等請求書受理後の経過を明瞭ならしめるよう措置すべきである。
B 形式的に適法な支払請求書を受理した後は、約定期間は、進行することとなるのであるが、受理後であつても、その内容が不当であり且つ、その不当が相手方の故意又は重大な過失によるものであるときは、適法な支払請求書の提出があつたものとみなされず、更に適法な支払請求書の提出があつたときから約定期間は進行することとなる。従つて支払請求書を受理した後は、その内容の不当が相手方の故意又は重大な過失によるものでない限り、これを受理した日から約定期間は進行し、故意又は重大な過失に基かない不当な箇所の修正のための返付期間中その進行が中断されるに過ぎず、手元にある期間の累積によつて、約定期間が満了することもあり得るから、支払請求書受理後の処理は、迅速的確なることが要請される。
C 連合国軍の調達要求に基く給付にあつては、PD、PRを添附すべきことは、契約に際し予め明示されており、その添附がないときは、故意又は重大な過失による不当な支払請求書とみなされる。
D 「返付した日」とは、返付のための発信をした日であり、返付した当日を含むものである。
E 「是正した支払請求書を受理した日まで」とは、再受理の当日を含み約定期間に算入しないものである。
F 政府の契約の特例に関する法律第1条に規定する特定契約で政府の支払金額の確定していないものに係る給付の対価の支払時期について、その起算点を「支払金額の確定した日又は政府が確定支払金額を指定(指定金額に対し改訂申請があつたときはその決定した日、その決定を不服として裁判所に出訴したときは、裁判の確定)した日」と定められたのであるが、この場合において、その起算点は、
(イ) 支払金額の確定した日とは、支払金額の確定につき両者の合意のあつた日とする。
(ロ) 政府が確定支払金額を指定した日とは、政府の指定金額の通知を相手方に発した日とする。この場合において、相手方における改訂申請の期限は、指定金額の通知を受けた日の翌日から1箇月以内(昭和22年勅令第11号第3条の2参照)であり、一方、法第六条の規定によれば、工事代金以外の対価の支払時期が法第7条の規定による特約のない限り指定金額の通知を相手方に発した日から30日以内であるため、相手方の改訂申請の意思を最終的に確認して後に支払をしようとするときは、この法律による支払遅延に陥ることもあり得るので、相手方の改訂申請の如何に拘らず遅滞なく支払事務を処理し、改訂申請に基く支払金額の変更のあつた場合においては、更に(ハ)により処理すべきである。
(ハ) 指定金額に対し改訂申請があつたときはその決定をした日であり、この場合においても、相手方の出訴期間が、その決定の通知を受けた日から3箇月以内(政府の契約の特例に関する法律第3条参照)となつているのに鑑み、(ロ)と同様の問題を生ずるので、同様出訴に拘りなく支払事務を処理し、約定期間に対する遅延の生ぜざるよう留意すべきである。
(ニ) 相手方の出訴により、支払金額が最終的に確定したときは、確定した日から(当日を含め)約定期間は開始する。
G 所定の最長日数以内において特に短期の支払時期の約定がなされた場合における約定期間の改定については、第5の(九)と同様の処理がなされる。

第7 給付の完了の認又は査の時及び支払の時の特例ついて
契の性質上、検収の時期及び支払の時期が、法第5条及び第6条に規定する時期によることが著しく困難な特殊の内容を有するものであるときは、当事者の合意により、それぞれ法第5条及び第6条の最長期間の日数に1.5を乗じた日数以内の日まで延長することができる。この場合において
@ 何が、著しく困難な特殊の内容を有するものであるかは、個々の具体的事情に応じ決せらるべきであるが、その内容が客観的に特殊なものに限られ、単に、この特例によつて、約定期間を延長し、実質上の支払遅延を生ずるが如きことは許されない。
A この特例は契約締結の時において約定すべきものであつて契約締結後においては原則としてできないものとする。但し、その後における事情の変更が客観的に妥当なものであると認められるときは、相手方の給付の完了前に限り合意の上これをなすことができる。
B 如何なる事由がある場合においても(契約によつても)これをこえてこれらの期間の延長をなすことはできないのであつて、これをこえて約定がなされた場合においては、当該のこえる部分については、これを無効とし、これら無効の期間に検収及び支払がなされたときは、検収及び支払の遅延があつたものとして取扱われる。

第8 支払の遅延に対する遅延利息について
国が約定期間内に対価の支払をしないときは、支払時期到来の日の翌日から支払をする日までの日数に応じ、当該未支払金額に対し大蔵大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率により計算した金額を下らない遅延利息を支払わなければならないのであるが、この場合において
@ 「支払」とは、弁済の提供が、債務の本旨に従つて現実になされること即ち現実に相手方に対し支払がなされることをいうものである。
右の弁済の提供は、国の債務を取立債務となすか持参債務となすかにより、その程度を異にすることとなるので第4条に掲げる必要的内容事項の外、履行の場所についても契約により明かにすることが必要である。
(イ) 支払の場所を支出官又は出納官吏の勤務場所とした場合(取立債務)にあつては、国は、支払の準備をなしたことを相手方に通知し且つ、その受領を催告することを以て足りることとなる。
(ロ) 支払の場所を相手方の営業所若しくは住所又は特定の第三地とした場合にあつてはこれらの場所、支払の場所を定めない場合にあつては相手方の営業所又は住所において、現実に支払がなされなければならない。(但し、これらの場所において支払の準備を完了して相手方の受領を催告せるも相手方の責に帰すべき事由によつて履行をなし得ない場合は、その翌日以後においては、国は、この法律による支払遅延の責に任じない。)
A 「する日まで」とは、右の催告の意思表示を相手方に発した日まで(当日を含む。)である。従つて、この翌日以後においては、国は、この法律による支払遅延の責に任じない。
相手方に対する右の通知(受領の催告)は、会計法規上の要請に基くものではないが、この法律による支払の遅延を生ぜしめないための必然的手段としてなされるものであつて、要式行為たるを要しないことは勿論である。
隔地払についても支出官が予算決算及び会計令第49条の規定による送金の通知を債権者に発した日がこの法律による「支払をする日」であり、その翌日以後においては、この法律による支払の遅延は生じないものである。
B 未支払金額とは、相手方の給付に対する対価の総額から前金払額又は概算払額等を差引いた未支払残額である。従つて、前払金又は概算払金については、この法律による支払遅延は生じないものである。
C 大蔵大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する支払遅延利息算定の率は、昭和24年12月12日附大蔵省告示第991号で日歩2銭7厘と決定されたが、この率は、銀行における一般貸付利率の変動に応じて改正せられるので常時その改正について留意する必要がある。
D 遅延利息は
(イ) 法所定の率により計算した金額を下るものであつてはならない。従つて、法所定の率を下つて約定せられた率は、法所定の率を以て約定したものとみなされる。
(ロ) 契約による損害賠償の予定であり、従つて、本来の債務に附従する性質を有し、特に契約において明示しない限り、なるべく本来の債務とともに履行できるよう処理すべきである。また、特に相手方において積極的にこの債権を放棄する意思表示のない限りは、当然支払の義務を負い、その請求を俟たずして履行をなすべきである。なお、本来の債務に附従する性質よりして、本来の債務が取立債務であれば遅延利息も取立債務としての履行があれば足りる。(第8の1参照)
(ハ) その履行期は、本来の債務の履行をなすとに到来すものと解せられる、損害賠償たる質に鑑み更に、そ支払遅に対する遅延利息は、当然には生じないものである。
(ニ) 特に定めない限り、その100円未満の額は、支払うことを要せず、また、100円未満の端数は切り捨てられるが、特に已むを得ない事情のない限り、この支払をなすべき特約は行わないものとする。
(ホ) その性質に鑑み本来の債務と同一消滅時効に罹り消滅する。従つて、本来の債務のみが単独に弁済されて、遅延利息の弁済が残された場合においても、また、同様に取り扱われるべきものである。
(ヘ) その支払は、本来の債務とは別個になすべきである。なお、国におけるその支出科目は、一般会計にあつては、賠償及償還金(目)賠償金(節)によることが適当であり、特別会計にあつては、所管大臣が大蔵大臣に協議して決定すべきである。
E 約定の時期までに支払をしないことが天災地変等やむを得ない事由に因る場合は、当該事由の継続する期間は約定期間に算入されず又は遅延利息を支払う日数に計算されないが、これは、約定の時期までにおける天災地変等の不可抗力に因つて支払をなし得ない場合に限られ、約定の時期以後に生じたこれらの事由による場合においては、支払遅延の責は国において負わなければならないのである。

第9 完了の確認又は検査の遅延について
国が約定の時期までに検収を終了しないときは、その遅延日数は、約定期間から差引かれる。従つて、支払請求書を受理した日から支払時期までの期間が短縮される。また、その遅延日数が約定期間を超える場合は、約定期間は満了したものとみなされ、検収を終了する日までのその超える日数については、遅延利息を支払わなければならない。これらの場合、国は、事由の如何に拘らず常に約定期間から検収遅延日数を差引かれ又は、遅延利息を支払わなければならないのではなく、検収遅延の理由が国の責に帰すべき事由による場合にのみ約定期間が短縮され又は遅延利息を支払わなければならないのである。但し、この場合においても、第5条第2項の規定の適用があり、また、遅延日数が約定期間を超える場合において、国が検収を終了し、相手方から適法な請求書を受理した後は、第6条第2項の規定に該当する場合を除いては、不可抗力による場合であつても遅延利息を支払わなければならないのである。

第10 国の過払額に対する利息の加算について
国が前金払又は概算払をした場合における支払済額が国の支払確定金額を超過し相手方が、その超過額を返納告知の期限までに返納しないときは、相手方は、返納告知の期限の翌日から返納する日までの期間に応じ、当該超過払額に対して、第8条第1項により大蔵大臣の決定する率と同率により計算した金額を、当該超過払額に別途加算して返納しなければならない。その取扱は、左によるものとする。
@ 当該超過払額が、現年度において支出済となつた歳出の返納金であるときは、当該歳出の定額に戻入し、出納の完結した年度に属するものであるときは歳入に組入れるものとする。
A 超過払額に対する利息に対しては、超過払額とは別箇に納入告知書を発行しすべて歳入に組入れるものとする。
B 遅延利息を加算して返納せしめることができるのは、前金払又は概算払の過払額に限り、誤払によるものには適用されない。
C 国の支払う遅延利息とは異り100円未満の額及び100円未満の端数についての切捨は行われない。
D 返納金及び加算金の科目区分は
(イ) 一般会計にあつては図1により
(ロ) 特別会計にあつては、所管大臣が大蔵大臣に協議して決定すべきである。

第11 国の会計事務を処理する職員に対する懲戒処分について法第13条においては、国の著しき支払遅延が、その会計事務を処理する職員の故意又は過失によるものであるときは、その職員に対し懲戒処分をなすべきことを規定しているのであるが
@ 「過失」とは、抽象的軽過失即ち善良なる管理者の注意義務を欠くことをいう。
A 「著しき遅延」とは、遅延利息を生ずるような支払がなされることをいう。
B 「任命権者」とは、雇傭上の任命権者を指すものであり、会計法第48条の規定によつて都道府県又は特別市の吏員に歳出の事務を取り扱わしめるような場合にあつては、当該都道府県又は特別市の長である。
C 法第14条によれば、法第13条第2項の規定は、地方公共団体に準用することになつていないが、これは、地方公共団体固有の支払事務に関する部面について準用されないのであつて、国の事務を取り扱う部面についての準用を妨げるものではない。

第12 この法律の運用上確認しおくべき期日について
この法律の実施に当つては、給付の完了に関する相手方の通知受領の日、国における給付の完了の確認又検査日、手方よりの支請求書受理日、支払請書返付の、是正した支払請求書再受理の日、相手方に対し受領の催告をなした日、現実の支払を終了した日等権利義務の発生消滅に関する確実なる記録を存しおく必要があるので、これらに関する整理簿を設け、この法律の円滑なる運用を期するものとする。

第13 法律の施行に伴う経過的措置について
この法律施行の日(昭和24年12月12日)において
@ 相手方から給付を完了した旨の通知を受け、国において完了の確認又は検査をしていないものは、法第7条の規定による特別の定をしない限りこの法律施行の日から
(イ) 工事については14日
(ロ) その他の給付については10日
以内に検収を終了せしめなければその遅延が国の責に帰すべき事由によるものであるときは、法第9条の規定による検収の遅延があるものとせられる。但し、この場合であつても法第5条第2項の規定の適用があることは当然である。
A 国が検収を終了して、相手方から適法な支払請求書を受理し、その対価の未支払のものについては、法第7条の規定による特別の定をしない限り、この法律施行の日から
(イ) 工事代金については40日
(ロ) その他の給付に対する対価については30日
を経過した後は不可抗力を以てしても法第8条の規定による支払の遅延があるものとせられる。但し、この場合であつても、法第6条第2項の規定の適用があることは当然である。
B 相手方が給付を完了し、国が検収をしていないもの及びその対価の未支払のものはこれらの時期の定めのない場合であつても、法第10条の規定に拘らず(一)(二)の取扱によるものとし、これらの時期及び利率の定があるものについては、これら時期及び利率が
(イ) 法所定の時期を超えるものは、法所定の時期、遅延利息の率が法所定の率を下るものは、法所定の率に修正されたものとみなし
(ロ) 法所定の時期以内のもの及び法所定の率を超えているものは、約定の通り
それぞれ履行しなければならない。但し、相手方の給付の完了していないものについては、第7の取扱要領により完了の確認又は検査及び支払の時期の特約をなすことは差し支えない。
C 相手方の給付が完了していないものは、相手方の給付の完了の日までに法第4条に掲げる事項を書面により明かにすべきであるが、これらの事項を書面により明かにしないときは、法第10条の規定が適用せられることとなる。
D この法律施行前に「国が支払確定金額を超過する支払をなしたもの」で、返納告知に指定した期限がすでに経過せるも、なお相手方が返納しないものは、その相手方は、法第11条の規定により計算した金額を加算して(本来の返納額と遅延加算金の取扱区分については、第10の(一)(二)参照)国に返納しなければならないのであるが、この場合における「国が支払確定金額を超過する支払をなしたもの」とは、広く過誤払を指すものではなく、法第11条に規定する前金払額又は概算払額が国の確定支払金額を超過しているものに限られ、また、その加算金の額が100円未満であるとき又はその額に100円未満の端数があるときは、これら未満の額又は、その端数は切捨を行わないものである。

第14 この法律の準用について
この法律の規定は、日本専売公社、日本国有鉄道及び地方公共団体のなす契約に準用せられる。但し、地方公共団体に対する準用については、法第12条及び第13条第2項の規定を除かれる。この場合において
@ 日本専売公社、日本国有鉄道及び地方公共団体それぞれ相互間の契約については、この法律の規定による取扱をせられる。
A地方公共団体とは、地方自治法に規定する地方公共団体であって、公共組合を含まない。
担当 なし
参照URL1  
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参照URL3  
添付ファイル1 0003.pdf
添付ファイル2  
添付ファイル3  

※添付ファイルは別ウィンドウにて開きます。

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